**Brown**


学生の頃は自分は子供なんかじゃないと、自分にも、周りにも言い聞かせる事に必死だった。
今は、子供に戻りたいと願う。
ずっと、大人って勝手だなって思ってた。でも、今はそんな大人になりつつある。


やらなきゃいけない事が沢山ありすぎて毎日潰されそうになるから、必死で自分を守ろうとする。
自分の気持ちや欲が先走る。



子供の頃は、他人の気持ちなんて分からなかった。本当に子供だったと思う。
分かってる振り。大人の振り。カッコイイ事ばかり探して、必死に”何か”になりたがってた。



そんな自分を映してくれた人がいる。
歩いてきたレールの先の景色が、どんどん広がって行った。
道を間違えそうになると、そっちじゃないよって、教えてくれる。手を引くわけでもなくて、声をかける訳でもなくて。
ただ、じっと目を見つめて教えてくれた。




側にいてくれる事が、段々と当たり前になって、不満も不安も増えた。
相手の気持ちが分からない分、自分の気持ちを押し付ける事で誤魔化そうとした。


少しずつ、2人の距離が離れて行く。
繋いだままだった手も、もう限界だった。
つなぎ止めておく力もなく、あっけなく解けた手。





本当は、そばにいれるだけで幸せだったのかもしれない。
多くを望んで、先ばかり見て、肝心な物は何も見ようとしなかった。
無くしてから気付くものは、いつもかけがえのないものばかり。




代わりはいらないから、あたしは一人で待つだけ。
また出会える事を待つだけ。
あの頃みたいなあの人に。





たった一人の、あたしの大好きな、大切な人。
また、カラフルなマフラーとギターを持って、こんにちはって笑いかけてくれるのを、ただ待つだけ。



大好きだった褐色の瞳。
いつも頭の中で、じっとあたしを見つめる目。

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