**三日月**


今日は半袖でも調度いいくらい暖かかった。
大好きな紅茶を入れて、庭で日光浴をした。
猫が足もとで眠る。
近所の仲良しの猫も一緒に。



外で飲む紅茶が好きで、おいしくて。
今日は雲もない晴天。
嬉しくって足をブラブラ揺らした。
ビーサンからでた親指が、鎖をはじいた。




しゃら。




真上を向いた。
空のてっぺんに、うすく三日月が出てる。
まだ、3時なのに。
堪えきれなくて流れた涙。




大好きだった君がいなくなって半年。
ドックフードのお椀も、犬小屋も、鎖も、そのまま庭に置いてある。




山に行ったり、川に行ったり。
おばあちゃんの家に遊びに行ったり。
大好きだった。
学校から帰ると、いつもちぎれそうにしっぽをふって小屋から出て来る。




高校生になって、部活が忙しいのを理由に、散歩に行かない日が増えた。
休みの日しか、自分の都合のいい時しか、かまってあげなくなった。




それでも、
親と喧嘩した時。
友達と喧嘩した時。
大好きな人とさよならした時。
自分の先にあるものが不安な時。
いつもあたしの話を聴いてくれてた。




きっと、あたしの言葉なんて理解できないのに。
少し頭をかたむけて、じっとあたしをみてた。
しっぽ揺らして。
あたしが泣くと、そばにきて、あたしの頬をなめた。




今、自分の事、これからの事、親の事、大切な彼の事、友達の事。
色んな事に行き詰まって、動けなくて。
こんな時に、君がいてくれたら。
少しは楽になれたのかなぁ。。



もう君はいないのに。
いつまでも忘れられなくて、そんな事考えてる。




最後になでてあげたのがいつだったかもわからないまま、消えてしまったのに。
大好きだったのに。




大好きだったのに。

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