**手**


大切な左手。愛しい右手。



初めて会った日に見た器用な左手。力強い右手。
彼はギターを弾いていた。



何度か会ううちに、彼の手はあたしの為に使われる様になった。
あたしをつなぎ止めておく左手。泪を拭ってくれる右手。
抱き締めてくれる両腕。



嬉しい時も、悲しい時も、優しく撫でてくれる。



苦しい時、愛しい時に、強く抱き締めて放そうとしない。




あたしの愛しい彼。
彼は、あたしへの愛を歌う。少しずつ成長するギターの伴奏。



あたしが彼を思い出す時に一番に浮かぶ、少し日焼けした骨張った指。
どんなに痩せても、あたしより大きな手。





どうかその手を、他人を傷つける事に使わないで。
自分を傷つけないで。
今まであたしを守ってくれた君を、今度はあたしが守るタメに。



沢山泣いてもいいんだよ。
あたり散らしてもいい。




だから、傷つけないで。
大丈夫。
ずっとそばにいるよ。

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